コロナ禍で以前のような旅行もままならない日々です。江戸時代に目を向けると、庶民のレジャー旅行の定番といえば、「お伊勢参り」でした。ひしゃくを持って神宮を目指せば沿道の住民から施しを受けたとされ、その気になればいつでも旅が始まりました。当時の道中はどのようだったのでしょうか。
拡大する伊勢神宮内宮に続くおはらい町通りから、五十鈴川に続く路地へ。白壁沿いの桜が満開をむかえていた=三重県伊勢市
繰り返す「おかげ参り」ブーム
やれ「Go To トラベル」だ「不要不急の外出を控えろ」だ。お上の朝令暮改ぶりときたら、かつての上司を見るようだ。
指図はご無用、庶民は余暇があったら出歩くのが大好き。レジャー旅行の定番は、お伊勢参りにとどめをさす。「神宮」が正式名称の伊勢神宮へ修学旅行や団体旅行、パワースポット巡りをした人は多いはずだ。
江戸時代には「おかげ参り」なる大ブームが60年に1度は起きた。1830(文政13)年は450万人が訪れたとされる。親や主(あるじ)に黙って旅立つ「抜け参り」が許されたとも伝わる。
よし、当時の道中を三重県でたどるとしよう。「東海道中膝栗毛」の弥次さん喜多さんのつもりで、ひしゃくをリュックに引っ掛けて。
まずは東海道と伊勢街道が分…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル